奇跡の海をD&Tで渡るには
奇跡の海をD&Tで渡るには
奇跡の海をD&Tで渡るには
このマッチアップで重要になる部分を、その中心になるカード毎に解説を行う。

まず、大きく分けて、
・《終末/Terminus》によるアドバンテージの損失と更地にされた盤面からの復帰
・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》によるアドバンテージ差の隔たり
・《相殺/Counterbalance》+《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》によるロック
・《天使への願い/Entreat the Angels》による時間制限
これらが試合を進める上での大きな障害になる。

加えて、サイドボードからは
・《僧院の導師/Monastery Mentor》を始めとするアグレッシブサイドへの対応
・《摩耗+消耗/Wear+Tear》を主とした装備品への対処手段の追加
という問題が生じる。


・《終末/Terminus》
奇跡というシステムに関する不満を述べたくなるカード恐らく、No.1。
全体除去にも関わらず、インスタントタイミングでの使用が可能であり、なおかつそのマナコストがわずかに1マナであるという理不尽の塊のような特徴を持つ。

このカードの登場まで、長きに渡り全体除去はそのコストから自分のターンが実質的に飛ぶことによる隙を生じるという共通の欠点を、その大半が持った。だが、このカードは1マナという常識を覆すコストで持ちそのアクションを可能にし、自分のターンに打った場合にも他の行動を行えるだけのマナを残す事ができる。
同一ターンでの《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》のキャストによる攻守の逆転に留まらず、返しのターンの隙を失くす、減らすという点だけで見ても非常に優秀である。PWというカードタイプの登場以降各色が継続的なアドバンテージ獲得手段を手に入れ、その直接的な対処の難しさから全体除去の価値が多少下がった事は、現状のスタンダードを見ても伺える。これは当然全体除去ではPWに触れない事もあるが、その隙にPWを出された時に対処が難しい事もその理由に含んでいる。この内、後者は全体除去ゆえの欠点だが、前者はクリーチャー除去であれば同等に持つ欠点である。つまり、このカードは全体除去の弱みを持たない全体除去であると言えば、隙を生じないという特性が持つ強さが解るだろう。

と、ここまでで十分に強力な訳だが、何を思ったのかインスタントタイミングでの使用、相手ターンでの使用も可能である。上記に加え、速攻、瞬速持ちに対しても牽制が効く。更には、破壊では無い除去のために、破壊不能、再生、不死などの能力をも許さない。
十分を通り越し、十二分と言えるだろう。


要するに、具体的な対策は特にない、と言っていい。
打たれたら、自分の場のクリチャーは全滅する。
“祈る”のが最上の対策だろう。
よって、【奇跡】というデッキに対して戦えるようにする事を考える。
上記の通り、《終末/Terminus》という、インスタントタイミングで、白マナ一つで、盤面を流せるカードを持っている。これは、既に相手の動きを制限しており、コントロールしている状況とそう大差はない。当然、この状況下に於いて勝つ事は現実的では無い。この状況を打破する為に此方側からも同様に、インスタントタイミングで、戦場にクリーチャーを出す、を実現し相手側の動きを制限して往く事を目指す。

主なカードは
《霊気の薬瓶/AEther Vial》
《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》
打点が低いにも関わらず、個人的に良く使用している理由になっている。
また、アドバンテージの面からは損失を防げる《Karakas》と伝説のクリーチャーとの組み合わせも、有効に働く。


・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
通称、神。
盤面を流され、彼に2回能力を起動されたら、次のゲームに行った方がいい。

【奇跡】に於けるメインのアドバンテージ源であるが、彼の数少ない欠点、クリーチャーを横に並べられると弱いという部分をある程度実現出来る事から、単体で見た場合はそれ程に苦労はしない。《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》下で5マナという重さ、《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》、《迷宮の霊魂/Spirit of the Labyrinth》の存在もある。問題は上記の《終末/Terminus》との相性にある。
《終末/Terminus》を避けられないカードとして、打たれる前提での行動をとっていると盤面にクリーチャーの展開を控えがちになり、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》への打点が足りない、彼の-1能力で処理される事態に陥り易い。その為に、彼の出てくる時間帯に突入したら、2体以上展開を強要される。
つまり、この事態を避ける為に最も有効なのは、相手の行動を見てからの後出しが可能な様な状況の実現になる。これにより、この“二択”の状況による損失は最小限に留められる。

何故、“二択”の状況限定なのかは…今更の説明も必要は無いかも知れない。
同時に用意され、《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》のある状況下だと、当然ながら回答にならない。
この状況下を防ぐにはマナを絞る、ヘイトベアーで《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を直接的に止める他は無い。しかし、これらのカード達を展開すると打点が遅く、同時に打点を上げる為にクリーチャーを追加すると《終末/Terminus》が刺さる。
結局のところ、インスタントタイミングでの展開を行い、リカバリーを早める他ない。


復帰を早める主なカード
《霊気の薬瓶/AEther Vial》
《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》

マナを絞れるカード
《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
《ヴリンの翼馬/Vryn Wingmare》
《リシャーダの港/Rishadan Port》
《不毛の大地/Wasteland》

直接的に干渉できるカード
《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
《迷宮の霊魂/Spirit of the Labyrinth》

《議会の採決/Council’s Judgment》


・《相殺/Counterbalance》
言わずと知れた、CTの片割れ。
マナ域が低く纏まっている、レガシーではキャントリップ系一枚で《相殺/Counterbalance》は機能する。

一見すると、《霊気の薬瓶/AEther Vial》、《魂の洞窟/Cavern of Souls》の存在があり、それ程有効には見えないかも知れないが、《霊気の薬瓶/AEther Vial》は先置きのみが有効であり《突然の衰微/Abrupt Decay》とは事情が異なる。また、デッキ内に4マナ以上のカードが存在せず(《殴打頭蓋/Batterskull》を除く)、一度2マナか、3マナのカードを積まれると捲る事は難しい。
盤面を捌く事が第一になりがちで、優先的に置かれることは少ないが、展開を多少なりとも控えながら動くことになるので、間に合わないという事は無い。《霊気の薬瓶/AEther Vial》が無い場合は、時間制限を設定されているに近く、そのマナコストの低さからその終わりは《天使への願い/Entreat the Angels》よりも早くに訪れる。
《相殺/Counterbalance》を使用する側にも、デメリットがあり、サイド後は減らされるか全て抜き切られる事が多い。


主な回答となるカード
《霊気の薬瓶/AEther Vial》
《魂の洞窟/Cavern of Souls》

《解呪/Disenchant》
《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》や《大変動/Cataclysm》など、マナ域の被せづらいもの。(サイド後は《至高の評決/Supreme Verdict》が入ってきたり、するが…。)


・《天使への願い/Entreat the Angels》
X=2でも辛い。X=5で即死。
白のダブルシンボルが少し、マナベースに負担をかけているだけのエンドカード。

《漸増爆弾/Ratchet Bomb》の様なトークンを狙い撃ちするカードは、相手のエンドカードを考えた時、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》*3、《天使への願い/Entreat the Angels》*2、《僧院の導師/Monastery Mentor》*2の様な構成になり、この内の2枚にしか効力のない先置きカードは相手の《渦まく知識/Brainstorm》、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》1枚でこちらの潜在的なディスアドバンテージに早変わりする。
また、これらのカードがプレイされるのは基本的には試合をある程度コントロールした後の話であり、その段階まで試合が進む事を肯定しいるカードとも言え、にも関わらず、その段階から状況を捲り得るカードとは言えない事から、可能ならばサイドINをしない方が良い。

回答を用意する、と言うより白2つを含むマナが経っていたら意識するものになる。
能動的に打ってくる場合は、X=4の6マナ程度からが主になる。


・《僧院の導師/Monastery Mentor》
クロック凄いカード。
トークンの生産速度が尋常じゃなく、そのお蔭で地上の堅さも併せ持つ。

《剣を鍬に/Swords to Plowshares》の様な後ろ向きのカードをこれをケアして採用するのは、リスクが高い。相手に依存しすぎている上に、此方の動きには貢献してくれない。
それよりは、生物が入ってくるなら仕事の残る《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》を残した方が打点上げになり、《終末/Terminus》で流れないカードとして、デッキ内の不要牌の枚数を削る事が出来る。
何れにしろ、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》と装備品を抜くことは、スロットの関係から難しく、それらを抜いたところで《霊気の薬瓶/AEther Vial》にあたってしまう。
加えて、《議会の採決/Council’s Judgment》を1~2枚は入れる事になり、サーチ元の枚数と合わせ6~7枚の確保があれば十分と言える。
故にこのカードの為に除去を残すという選択は取らない方が良い。


・《摩耗+消耗/Wear+Tear》
上記の通り、ケアはスロットの関係上、難しい。
素直に受け入れ、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》の分だけ1枚のアドバンテージを獲得したと快く受け入れる。
それよりも注意するのは《迷宮の霊魂/Spirit of the Labyrinth》の方になる。
このカードがデッキ内で唯一のエンチャントになる事が多く、融合を絡め《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》と同時に落とされるような局面を作られるとクロックにして5点もの損失なり、テンポ面、アドバンテージの面からも損失が出る。
生物のスロットを削る事になった場合、真っ先に削るのは《迷宮の霊魂/Spirit of the Labyrinth》で良い。ただ最近は《摩耗+消耗/Wear+Tear》の枚数が1枚に減る事が多く、逆に《思案/Ponder》が増えてきており、このサイドボーディングで良いというと怪しいかも知れない。

■まとめ
《霊気の薬瓶/AEther Vial》を消されなければ戦えるが、消されると苦戦必至。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を考え、2体は並べたい。
《天使への願い/Entreat the Angels》への専用のカードは取らない。
《僧院の導師/Monastery Mentor》をケアするなら、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》を残し、その上で必要ならば《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を残す。


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